大家さんが借り主に許可を得ず、無断で入室するケースは意外と珍しくありません。
場合によっては住居侵入罪(刑法130条)などの罪に問われることもあります。
今回は賃貸オーナー様向けに、無断入室できない理由と、逆に借主に許可を取らず入室できる場合をご紹介します。
賃貸オーナーでも無断で入室してはいけない理由
賃貸物件のオーナーが無断で部屋に入室してはいけない理由として、以下のことが挙げられます。
・部屋の利用権は借り主にある
賃貸借契約において、一般的に部屋を利用する権利は借主が有しています。
そのためオーナーであっても、借主から許可をもらわないと基本的に室内へ立ち入ることができません。
「必要がある場合に限り、オーナーは借り主の承諾なく室内に立ち入りが可能」
という内容がまれに契約書に書かれている場合があります。
借主が無断入室を許可しているように思えますが、貸室は借主にとってプライベートな場所です。
やはり入室前には許可が必要といえるでしょう。
もしオーナーが無断で入室した場合、不法侵入罪だけでなく窃盗罪や器物破損罪に問われる恐れがあります。
許可を取らずに貸室へ入室できる場合
賃貸オーナーが借主に許可を得ず、入室できる場合は以下のようなときです。
・緊急事態のとき
火災などの緊急時は「緊急事務管理」として、借主の許可を得ずに入室ができます。
消火活動を行ったりガスの元栓を閉めたり、災害時には適切な対応が必要だからです。
・法的手続きを踏んで入室する
家賃を数カ月滞納している場合、オーナーが強引に追い出すことは難しい場合もあります。
しかしオーナーの再三の勧告に応じない場合、退去や明け渡しに踏み切る場合もあります。
そういった場合は明け渡し訴訟といった法的手段を取る必要があります。
裁判所から明け渡し命令が言い渡され強制執行を申し込むことにより、借主の許可を得ずに入室が可能です。
まとめ
オーナーだからといって勝手に入室していいということはなく、基本的には借主の許可を得なくてはなりません。
お互いの権利と義務を守り、借り主と良好な関係を築いていきましょう。