賃貸物件を退去するときに押し入れなどのカビを指摘されて原状回復を求められた場合、借主が原状回復費用を払わなければいけないのでしょうか?
今回は、賃貸退去時にしばしば問題となる原状回復費用と契約書に記載されている「善管注意義務」の関係について解説します。
賃貸にカビが生えたら借主負担になる?気になる善管注意義務とは
賃貸物件から引っ越すとき、善管注意義務違反を理由に部屋の原状回復を求められて困ってしまうことがあります。
原状回復の理由としてあげられている「善管注意義務」とは、「善良なる管理者の注意義務」を省略した言葉です。
言い換えると、「部屋を借りるときには注意を払う義務があるので、ちゃんと管理してください」となります。
そのため、普段からきちんと部屋の状態に注意を払っていた場合は善管注意義務違反になりません。
カビを例とするなら、普段まめに風呂場を手入れしていたのに薄くカビが生えてしまった場合は善管注意義務違反にはあたりません。
しかし窓辺が結露すると知りながら日常の手入れを怠り窓枠に酷いカビが生えてしまった場合などは、善管注意義務違反とされても仕方ないでしょう。
その状況が不注意・過失で起こった場合は善管注意義務違反に該当し、通常の使用範囲内や経年劣化で起こった場合は善管注意義務にならないと考えられます。
賃貸に善管注意義務違反でカビが生えたときに請求される原状回復費用とは?
前述のとおり、あきらかな善管注意義務違反によって部屋にダメージを与えた場合は原状回復費用を支払う必要があります。
壁紙・フローリングの日焼けや家具を置いた床の凹みなどは通常の使用または経年劣化による傷みとみなされ、貸主側が原状回復費用を負担することがほとんどです。
借主が原状回復費用を負担するケースとしては、結露を放置したことで発生したカビやシミ、窓から雨が吹き込んだことによるフローリングの色落やカーペットのシミなどが考えられるでしょう。
原状回復費用の借主負担が発生した場合、入居時に預けた敷金から差し引かれるのが一般的です。
退去時にできるだけ多く敷金を返してもらうためには、普段から部屋の管理に注意を払うようにしてください。
借主の不注意や過失が原因で部屋が傷んだ場合は善管注意義務違反とみなされ、原状回復費用の借主負担が発生しやすくなります。
部屋は家主のものですが、管理する義務は借主にあるため、普段から大切に使うように心がけましょう。